【アーカイブ⑮】

2008年9月23日記

 

 

 

 

アイツとはしばらく音信不通だ。

 

もう2ヶ月以上会っていない。

 

連絡もとっていない。

 

今はどうか知らないが、最近まで忙しかったはずだ。

 

 

 

 

アイツは子供の頃、物凄く早熟だったという。

 

普通の人がしないような経験も数多く、私がちょうど結婚するころ、激動の10代を過ごしていたようだ。

 

彼女を亡くしたことがある、という話を聞いたこともある。

 

星になったその彼女の詳しい話は、きく勇気がなく詳細はわからないままだ。

 

 

どんなに頑張っても私には永遠に辿り着けない存在がアイツの中にある。

彼が死を美とする理由は、そこにも少しあるのかもしれない。


更にあまりに多感すぎる10代だったアイツは、高校卒業直前に自主退学。

そしてバイクで全国をまわり、南国の島まで行ってきたという。

つらく寒い野宿などを経験したあとに、最後に辿り着いた南国の素晴らしさに感動した彼は

のちに生まれた我が子に、その場所を連想させる名前をつけた。

アイツの心の中に深く刻み込まれた、意味のある旅だったのだろう。

 

その旅で自ら進む道も見つけ、学校に入り直し、見事合格。その職を得て、今は激務に追われている。

 

 

唯一心から愛する人間は、星になった彼女と我が子だけなんだろうな。

 

私にはそこに立ち入る隙間も度量も持ち合わせていない。

 

 

私と出会った頃

『君に出会って、心から愛してると言える』

と言ったこともあった。

 

でもそれはその時だけ、一瞬盲目になっただけだと私は思っている。