発達障害の診断と苦しい日々

アスペルガーという言葉を聞いたのはその時が初めてだった。

 

 

 

『知的な発達に遅れがない高機能自閉症だって。「あなたを理解できる人はあなたしかいない」って医者から言われたよ…

障害者なんだよ。』

 

 

 

アイツはショックを受けている様子だった。

 

しかし彼はアスペルガーについて、それ以上の情報は私に何も話さなかった。

 

私は当時、まだ発達障害という言葉すら知らなかったので自分でいろいろ調べた。

 

 

他人の気持ちを推し量ることができない

人の気持ちがわからない

空気が読めず失礼なことを悪気なく言ってしまう

ゆえに人間関係でトラブルが起きやすい

 

これらの特性はアイツそのものだ。

 

 

 

出会ってから1年も経たない頃、彼は異動があった。

つまり環境の変化だ。周りの人間関係が変わる。

 

おそらくその特性から、新しい職場での人間関係がうまくいかなかったのではないかと思う。

 

その人間関係の困難さは、アスペルガーの人のよくある特徴だと初めて知った。

 

 

その後、離婚。

自分で望んだこととはいえ、子どもが小さかったために、思った以上に神経をすり減らしていたようだった。

 

 

 

そしてストレスはMAXになり、心を病んで病院に行き、初めて発達障害と診断されたらしい。

異動という環境の変化があってからは数年経っていたと思う。

 

 

 

 

不眠はかなりひどくなっていたことだろう。薬がより強く、より多くなっている様子だった。あとから聞いた話では、鬱の薬も飲んでいたという。

 

 

結局、仕事も辞めてしまった。

時期はハッキリ覚えていないが、辞めたのは確か診断後の、この頃だったように思う。

志を持って就いた とても立派な仕事だったので、私としてもとても残念に思った。

 

 

 

そして目の病気もあったと言う。適切にケアしていかなければ、いつか失明も有り得るという病気だったらしい。

 

 

 

 

 

 

いま振り返ればツラかったのだろうと思う。

 

 

 

でも

連絡もよこさず、会いにもこず、全くの音信不通で様子もわからない。

かろうじて断片的に最低限の近況が入るだけで、どう感じているのかどれだけ大変かはわからなかった。

 

 

アスペルガーのこともまだ本当の意味で理解していたわけではなかったのでアイツの気持ちがわからず、私も限界にきていた。

 

私はアイツのそんな状況を実感できなかった。

 

ただただ何も言われず放置が長く長く続くことが悲しかった。