アイツが好きだ
離婚
発達障害の診断
病気
離職
自殺の狂言
記憶喪失
転職の繰り返し
無職
スロプロ…
私と出会ってからだけでもこれだけのことがアイツにはあった。
ツラかっただろうな。
私は何の変哲もない平々凡々な主婦。家族としては立派にやってるほうだと思う。子どもも命がけで守る。
でも夫婦関係はダメダメだった。
夫婦としてもダメなんだけど、本来はドライで合理主義な私。本当の意味で人を好きになったことなんてなかった。
けど
アイツは好きだ。
たとえ
どんなに変わり者でも
アイツが生涯で1番好きだ。
何かをしてくれるから
大切にしてくれるから
優しくしてくれるから
愛してくれるから
だから好きという感覚が私には一切ない。
しかしこれはアイツに対してだけ抱く特別な感覚だ。
私は普通の女なので、普通の定型発達の人相手なら、こういったことももちろん有り得る。そうだったらもっとラクだっただろう。
裏のない率直さと博愛的な心の優しさ、ピュアさ。
率直だからこそいつも本当のことを言う。
物事の究極的な本質を見て生きていること。それは極端なトリッキーさで、一般人の理解の範疇を超えている。
究極はこれが本質だという信念がゆるがない。呪術廻戦の夏油さんみたいな感じだ。
雰囲気、声、匂い。
そして存在そのもの。
私個人にはなんのメリットもないものばかりだ。
まるで芸能人とファンのようだな、と最近思う。
ファンはその芸能人に個人的に何かしてもらうから好きなわけではなく、一方的に好きなだけ。
その芸能人は自分のファンになってもらって有り難いと思い、ファンをやめられないように大事にするが、個人的な愛情を一人の人に差し出しているわけではない。
私は、自分がいちファンだと思えば気がラクになれるだろうか。
でも私が人間である限り、本当は相手の愛情を実感したい。私自身を愛して欲しい。が、アスペルガー相手には難しいことかもしれない。
いや
もしかしたら。
これまでも本人なりに愛情をあらわしていてくれたのかもしれない。でもアスペルガーの表現はわかりにくいし理解し難い。定型発達の私には寂しすぎた。
出会ってから18年
別れと復縁を4回繰り返してきた。
アイツは最近こんなことを私に言った。
『こんなに長く(人付き合いとして)続いてる人は他に居ない。初めてだ』
彼がなぜ私から離れないのかはわからない。
執着…アスペルガー特有の執着なのだろうか。
ファンのように好いてくれる人を手離したくないだけなのか。
それとも
愛情
なのだろうか…