忘れてた難しさ①

アイツのことを好きだ好きだと浮かれていたら

 

アイツが本当に難しい人間だということを、私

 

 

忘れていた。

 

 

 

 

 

 

またアイツは怒っている。

 

そういう奴だった。

もう本当に面倒だ…と

半ばウンザリする。

 

 

 

 

 

 

 

喧嘩をすると本心ってわかったりする。

もちろん売り言葉に買い言葉もあるだろう。

でも本心が垣間見えることはある。

 

 

 

以前した大喧嘩の中で、アイツは損得勘定体質だということ初めて知った。

 

例えば何かをプレゼントしたら、お返ししなきゃ悪いなと気になるとか、人から何かしてもらったらお返しに奢るものだとか

 

いつもそういう合理的な考え方をしているらしい。

アイツは数学が恐ろしいほど良くできる。ロジカル体質なんだろう。

 

そして意外にも考え方が武士のよう。男の義理人情、生き様。義理は通す。そんなのが大好きだ。

 

 

『お返ししなきゃと気になるから、プレゼントはしないでくれ』とまで言われたこともある。

 

 

 

 

 

 

 

ネックレスをもらったとき、私は有頂天だった。

 

しかし後日落ち着いて考えてみたら

 

以前リクエストされて縛りになったのだろうかと思えてきたことに加えて

 

損得勘定がある人だということも頭に浮かんだ。

 

以前「ネックレスと腕時計のプレゼント交換案」を提示されたことがある。

 

さすがに、お返しに何か欲しいからくれたのではないとは思うが…

 

 

だけど

お返しのこと、言っておいたほうがいいかな。クリスマスだし。

私はいつも、形に残らないものや、本人がお返しを気にしない程度の軽いものしかあげていないから、どうせなら私も何か形に残るもので、ネックレスに見合うようなある程度ちゃんとした物をあげたいな。

などと考えた。

 

損得勘定体質だから、早めに言っておけば、お返しのことちゃんと考えてるよ、というアピールにもなる。

『もらっておいて何も考えないのか』とは思われたくない。

 

 

 

 

そう思って数日後

『お返し何がいい?』

とLINEした。 

 

『何も要らないよ』

 

『そんなこと言わないで』

 

『じゃあ何か浮かんだらリクエストする』

 

 

そんなやりとりがあった。

 

 

しかし

形に残る物をあげたい、とその翌日 追いLINEしたのが、地雷だったらしい。

 

『いいからそういうの』

『俺の欲しいものって言ってたよね』

『何か欲しいからあげたわけじゃない』

 

アイツがだんだんイラついてきたのがわかった。

 

でもチャンスは今しかない、と思った私は

 

『ではなぜ、と聞いてもいいですか』

 

ついに聞いてしまった。

 

 

 

 

 

『静かにして』

 

 

 

完全に怒った。

あるいはちょうどスロプロの仕事が佳境に入ったタイミングで、過集中の時だったのかもしれない。

 

アスペルガーのアイツは、過集中とルーティンの人間だ。

予想外の行動は本当に苦手で、それを邪魔されたり乱されたりすると混乱したり、怒ったりする。

そんなタイミングだったのだろうか。

 

それとも。

 

 

 

 

 

これ以降、既読にもならず完無視となった。

 

 

あああ…

またか。

忘れてた、こういうの。

ちょっと何か言えば

いつもこうなる。

 

 

 

 

 

 

損得勘定の気持ちをおさめるためだったのは本当。

 

私は自信がなかった。

縛りだっただけ

損得も考えてる

という予想通りの結果だったら、単純に浮かれている自分がバカみたいだから。

 

合理主義なアイツが、見返りを期待しないシンプルな愛情表現のみの行動なんてするのかな。しかも私に?

 

 

以前、私のことを

『多少特別な存在ではあるけど』

と言っていたことがある。

 

多少特別?

多少特別ってなんだろう。まぁ軽くちょっとはね、という意味なのか。

結局、好きだと言われたことはない。

 

 

そういう気持ちのある無しに関わらず

 

アイツはいつも、大事なことは何も言わない。

 

一言 言ってくれたら、いろいろ勘ぐらなくて済むのに。

 

私は女だから、言葉が欲しい。

 

本人はよくも悪くも行動で示しているつもりなのかもしれないが、言葉を聞かないと余計な裏の裏まで考えてしまう。

 

 

いや

何も言わないのは、単に言いづらいだけなのか。

私が生涯で1番好きなのは貴方だと言ったことがあるから、自分はそうではないと言いづらいのか。

ハッキリ言ったほうが本当の優しさだと、アイツはわかっていない。

 

 

 

アイツの本当の気持ちはいつもわからない。